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最低限理解しておきたい、民泊規制緩和の現状まとめ(前編)

こんにちは民泊専門ライターのTakashiです。

民泊の規制緩和の動きは先進国を中心に各国で議論が進められていますが、日本でも2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、東京都大田区において国家戦略特区法に基づく民泊の受付が始まるなど、本格的に民泊の規制緩和の動きが進みつつあります。

また、政府内では「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、旅館業の規制緩和に関する議論が進んでおり、徐々にその緩和の方向性が明らかになってきました。

民泊の認知の広まるの中で、「民泊解禁」を謳った報道も見られますが、前回の記事でも見てきたように現行法下では「合法的に」民泊を運用するには、様々なハードルをクリアする必要があります。

そこで、民泊規制緩和において進んでいる2つの動き、国家戦略特区に基づく特区型民泊と、有識者間で議論が進む簡易宿所型民泊について、2回に分けて現状と今後の展望をまとめてみます。

▼目次

全国初の民泊特区 大田区の現状

本格的な普及へ向けた課題

今後の展望

全国初の民泊特区 大田区の現状

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東京都大田区において、初めて国家戦略特区に基づく民泊物件が認められてから、約1ヶ月が経ちました。

当初、大田区は3月末までに申請物件は100件を越すだろうと見込んでいたようです(日本経済新聞 2016年2月13日)。約1ヶ月たった今、大田区における民泊の状況に変化はあったのでしょうか。

5回にわたって開いた説明会には1000人以上が参加し、関心の高さがうかがえますが、申請があったのは3件で、認定を受けたのは2件にとどまっています。

出典:NHK(2016年3月2日)

2件というのは、約1ヶ月前に最初に認定を受けた2物件、つまり「STAY JAPAN」を運営するとまれる社が所有する2物件のことでしょう。残念ながら、認定を受けた物件数は1ヶ月前から変化していないようです。説明会への参加人数から考えて関心は非常に高いものの、参入を検討する民泊オーナーはハードルの高さから二の足を踏んでいるというのが実態のようです。

本格的な普及へ向けた課題

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では、何が特区型民泊の課題となっているのでしょうか。今回はもう少し具体的に深掘ってみたいと思います。

手続きが煩雑

当初より言われていたことですが、手続きがとても煩雑なことが一つの理由でしょう。これは、大田区で公開されている下記の申請手続きのフローチャートをご覧いただければ一目瞭然です。個人はもちろん、たとえ法人であったとしても、このような複雑かつ面倒な手続きを行うのはそれ相応の時間がかかります。

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出典:大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン (14ページ)

具体的には、事前の消防署への確認や近隣住民への周知など、旅館業の免許を取得する際と実質的には変わらない手続きが必要とされています。

既にこうした煩雑な手続きを10-20万程度で代行してくれる業者まで出てきています。しかしながら、物件の手配や家具・家電などの内装にかかる費用に加えて、代行申請の費用も追加で支払ってまで民泊を始めるオーナーがいるのかは少々疑問です。

こうした手続きのハードルの高さが、普及が進まない理由の一つと見られている一方で、特区民泊の普及が進まないのは、民泊オーナーが特区民泊に基いてを民泊始めるメリットをあまり感じていないからのようです。これには、有識者間で議論が進む旅館業法の規制緩和の議論の影響があります。

簡易宿所型民泊のほうが有利

詳しくは後編で述べたいと思いますが、政府は有識者で構成される「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、旅館業法の政令改正、具体的には簡易宿所の条件を一部緩和して民泊を認める方向性で議論を進めています。ここでは、簡易宿所型民泊と呼びたいと思います。

民泊参入を検討するオーナーの中には、この簡易宿所型民泊と特区型民泊の条件を比較した上で、参入の判断したいと考える民泊オーナーも一定数いるようです。特に、大きな違いとなるのが宿泊日数の制限です。

特区型民泊 簡易宿所型民泊
法規制 国家戦略特別区域法 旅館業法
滞在日数 7日以上 制限なし

特区型民泊は6泊7日以上の宿泊対象としているのに対し、簡易宿所型民泊の場合、通常のホテル・旅館と同様に扱われるため、宿泊日数の制限がありません。つまり1泊からの宿泊を受付られるのです。

予約する側のハードルを考えると、1泊から予約を受け付けられる簡易宿所型民泊のほうが、より多くの旅行者を受け入れることができ、物件の稼働率を高められると考えるのは当然のことでしょう。

さらに、厚労省が2016年4月に全国的に緩和を行うと方針を示し、想定よりも早く規制緩和の見通しがたったことで、民泊オーナーからすると、大田区の国家戦略特区を活用する必要性が薄まってしまったのではないでしょうか。

今後の展望

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東京都大田区に加え、既に民泊特区へ向けて具体的に動きが進んでいるのは大阪府です。今後の全国的な普及へ向けてはどのような動きになっていくのでしょうか。

他の特区も様子見状態

各特区において検討されている区域計画を見ると、特区民泊を現時点で計画に盛り込んでいるのは東京圏・関西圏のみです。また、東京圏・関西圏内であっても、先ほどあげた2つの地域以外では今のところ具体的に話を進めているといった動きはみられません。

民泊オーナー同様、各自治体も東京都大田区の特区の状況を見ながら、今後の動き方を判断したいと考えているのではないでしょうか。大田区に次いで議論が進む大阪府でも、大田区の事例を参考にして、ほぼ同じ基準で物件の審査基準が作成されています。こうした動きから判断するに、見本となる大田区において民泊の普及が少しでも進むようにルールを作っていかない限りは、他の特区でも現状の大田区のルールをベースに特区民泊の議論が進められる可能性が高いと思われます。

より普及するルール作りのために必要なことは?

より多くの民泊オーナーが参入しやすいルールを作っていくためには、既に施行開始している大田区において、先行事例を増やし、いかに発展的な議論のための素地を作っていけるかが鍵になると考えています。

実は、唯一認可を得ているとまれる社の物件は、オーナーが別におり、同社はオーナーと賃貸契約を結んだ上で、さらにそれを旅行者に提供するという「又貸し」の形式をとっています。これは、同社が運営するSTAY JAPANへの掲載を促すべく、同社がリスクをとって率先して先行事例を作っていくという同社の姿勢でしょう。一方で、特区民泊の普及という観点では、リスクを取りづらい個人オーナーの代わりに、企業が積極的にリスクをとることで、先行事例を増やしていく効果も期待されます。

普及へ向けては様々な課題が浮き彫りになってきた特区民泊ですが、こうしたロールモデルが増えていく中で、手続きや宿泊日数の制限緩和など、少しで発展的な議論が増えていくことを期待したいです。次回は、有識者間で議論の進む簡易宿所の政令改正に関してまとめたいと思います。

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