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現行法下で実施可能な「合法」民泊まとめ

こんにちは民泊専門ライターのTakashiです。

前回の記事で見てきたように、「旅館業法」に基いて判断をすると、通常の民泊の運営形態では、一定の法的リスクが伴います。政府を中心に議論がすすめられているものの、今は規制緩和へ向けた過渡期という段階で、明確な法整備がなされていないというのが現状です。

しかしながら、現行法に基いて「合法的に」運営することのできる民泊も中にはあります。そこで、本日は合法民泊について解説したいと思います。ぜひご一読ください。

▼目次

農林漁業宿泊体験民宿業

イベント民泊

国家戦略特別区域 外国人滞在施設経営事業(特区民泊)

まとめ

農林漁業宿泊体験民宿業

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農林漁業体験民宿とは?

農林漁業体験民宿とは、農山漁村余暇法で定められた農林漁業者が経営する民宿で、農山村での生活体験、農林業体験などができる民宿のことを言います。通常、民宿を開業するには、旅館業法の「簡易宿所」か「旅館」の営業許可を受ける必要がありますが、農林漁業者が体験民宿を営む場合に限り、客室延床面積が33㎡未満であっても営業許可を受けることができます。

なお、農山漁村余暇法施行規則では対象となる農林漁業体験(農村滞在型余暇活動に必要な役務)として下記を定めています。

農村滞在型余暇活動に必要な次に掲げる役務 ・農作業の体験の指導
・農産物の加工又は調理の体験の指導
・地域の農業又は農村の生活及び文化に関する知識の付与
・農用地その他の農業資源の案内
・農作業体験施設等を利用させる役務
・上記の役務の提供のあっせん
山村滞在型余暇活動 ・森林施業又は林産物の生産若しくは採取の体験の指導
・林産物の加工又は調理の体験の指導
・地域の林業又は山村の生活及び文化に関する知識の付与
・森林の案内
・山村滞在型余暇活動のために利用されることを目的とする施設を利用させる役務
・上記の役務の提供のあっせん
漁村滞在型余暇活動 ・漁ろう又は水産動植物の養殖の体験の指導
・水産物の加工又は調理の体験の指導
・地域の漁業又は漁村の生活及び文化に関する知識の付与
・漁場の案内
・漁村滞在型余暇活動のために利用されることを目的とする施設を利用させる役務
・上記の役務の提供のあっせん

出典:農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律施行規則

体験民宿のマッチングサイト

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農林漁業宿泊体験民宿のマッチングサイトです。日本の伝統文化や農林漁業など、多様な体験のできる体験民宿が522件登録されています(2016年2月23日時点)。

なお、このとまりーなを運営するITベンチャー百戦錬磨(仙台市)は農林漁業体験民宿の「登録実施機関」としても登録しています。必要書類や費用など、登録手続きに関する詳細な情報を確認されたい方は、ぜひチェックしてみてください。

「農林漁業体験民宿」登録のご案内 | 株式会社百戦錬磨

イベント民泊

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イベント民泊とは?

年1回(2~3日程度)のイベント開催時に、宿泊施設の不足が認められる場合は、開催地の自治体の要請で、合法的に自宅等を宿泊施設として提供可能になるというものです。このイベント民泊は、規制改革実施計画によって以下のように定められています。

イベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いケースについては、旅館業法の適用外となる旨を明確にし、周知を図る。

出典:規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)

また、厚生労働省は旅館業法の取り扱いについては以下のような見解を示しています。

イベント開催時の旅館業法上の取扱いについては、「反復継続」に当たる場合には、旅館業法施行規則第5条第1項第3号による特例の対象として取り扱うこととなるが、年1回(2~3日程度)のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものについては、「反復継続」するものではなく、「業」に当たらない。

なお、自治体の要請等に基づき、公共性が高いことを要件とする考え方であることから、開催地周辺の宿泊施設が不足することの確認や反復継続して行われていないことが確認ができるよう、自宅提供者の把握を行うことなどが求められる。

出典:「規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)」に基づくイベント開催時の旅館業法上の取扱いについて(平成27年9月1日)

つまり、これは恒常的に民泊を認めるものではありません。イベント開催時のみであれば、宿泊に「反復継続性」がなく、「業」にはあたらないと判断されるため、民泊を一時的に旅館業法の適用外とするということです。

イベント民泊の事例(福岡市)

福岡市では、このイベント民泊を活用して、昨年の「嵐」や「EXILE」のコンサートを開催に合わせて、試験的にコンサート開催日の民泊を受け入れる市民を募りました。

また、前述のとまりーなのサイト内でも特集ページをもうけてオーナーの募集を行いました。しかしながら、実際に旅行者を受け入れることができたのはごくわずかのオーナーのみで、イベント民泊については、まだ試行錯誤が続きそうです。

「おそらく全国初」(市の担当者)という試みに、約200件の問い合わせがあったが、ほとんどが今回は対象外の空き家の提供に関するものだった。実際の応募は38件で、市は最終的に22件の民泊を認めた。うち十数件が旅行者と引き合わせるためのサイトに登録したが、受け入れまで至ったのは4件にとどまった。

出典:朝日デジタル(2015年12月30日)

国家戦略特別区域 外国人滞在施設経営事業(特区民泊)

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国が指定した戦略特区内において、個人宅やマンションの空き部屋を一定の設備要件等を満たせば、宿泊施設として旅行者向けに営業できるよう特例として認めたもので、いわゆる「特区民泊」と呼ばれる。

国家戦略特別区域(国家戦略特区)とは?

安倍内閣により規定された経済特区で、旅館業法をはじめとする岩盤規制全般について突破口を開き、国際競争力の強化や地域振興を推進することを目的としています。既に、東京圏(東京都全域・神奈川県、千葉県成田市・千葉市)、関西圏(京都府・大阪府・兵庫県の全部または一部)、沖縄県や福岡県福岡市などが特区として指定されています。

特区として指定されたエリアでは、都市再生・まちづくり、教育、医療や農業など様々な分野において規制緩和が進められています。その一環として、外国人の滞在ニーズに対応すべく、滞在施設の旅館業法の適用除外の制度化が進められました。

旅館業法の適用除外とは?

特区内における外国人滞在施設経営事業について、国家戦略特別区域法では以下のように定められています。

国家戦略特別区域会議が、第八条第二項第二号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(国家戦略特別区域において、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業(その一部が旅館業法 (昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する旅館業に該当するものに限る。)として政令で定める要件に該当する事業をいう。以下この条及び別表の一の四の項において同じ。)を定めた区域計画について、第八条第七項の内閣総理大臣の認定(第九条第一項の変更の認定を含む。以下この項及び第九項第二号において「内閣総理大臣認定」という。)を申請し、その内閣総理大臣認定を受けたときは、当該内閣総理大臣認定の日以後は、当該国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行おうとする事業が当該政令で定める要件に該当している旨の都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下この条において同じ。)の認定(以下この条において「特定認定」という。)を受けることができる。

出典:国家戦略特別区域法 第十三条

まとめると、国家戦略特区として指定を受けたエリアでは、定められた要件を満たした上で自治体から認定を受ければ、旅館業法の特例(旅館業法の適用除外)として、合法的に民泊を運営することができます。

具体的な要件としては、一居室の床面積が25平米以上であること、宿泊日数が7~10日以上であること、外国人旅客の滞在に必要な役務(外国語を用いた施設の利用案内や緊急時の情報提供など)を提供すること、といったものがあります。

特区民泊の先行事例(東京都大田区)

2015年2月12日、東京都大田区において全国で初めて「民泊」施設が認定されました。しかし、産経ニュース(2016年2月13日)によると、民泊に関する問い合わせは12日までに窓口に61件、電話で222件と高い関心を集めています。

一方で、要件のハードルの高さや手続きの煩雑さから、今のところ認定を受けた施設は、前述のとまりーなを運営する百戦錬磨の子会社とまれる(東京都千代田区)が申請した2件にとどまっています。今後は大田区をモデルケースとして、国家戦略特区の枠組み活用した民泊が普及していくと見られ、大阪府が4月から、大阪市が今秋からの実施を目指しています。

なお、とまれるが運営する民泊予約サイト「STAY JAPAN」では、既に認可を受けた特区民泊物件2軒の予約受付を開始しています。

まとめ

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農林漁業宿泊体験民宿業、イベント民泊、特区民泊と現行の法規制の下で「合法的に」運営可能な民泊を紹介しました。いずれの方法も合法ではあるものの、規制緩和の程度としてはまだ限定的で、個人がこうしたスキームを利用して民泊を始めるにはまだハードルが高い、というのが現状ではないでしょうか。

民泊の全国的な普及へ向けては、国家戦略特区の要件(宿泊日数や対象エリアなど)のさらなる緩和や、「民泊サービスのあり方に関する検討会」において検討されている簡易宿所の要件緩和といった新たな規制緩和の動きに期待されます。次回はこのあたりを詳しく記事にしたいと思います。

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